横溝美由紀は1990年代より、プラスチックなどの身近な人工物を用い、時間、空間、光を重要な要素とするミニマルなインスタレーションを国内外で発表してきました。近年は、インスタレーションとカンヴァスによる平面作品を組み合わせ、展示空間との関係のなかで、自身の心象風景を立ち上げる試みを展開しています。

横溝が「彫刻としての絵画」と位置づける平面作品では、絵筆を用いず、油絵具を施した糸をカンヴァス上で弾くことで、画面に線の軌跡を刻み込みます。絵具の飛沫や盛り上がり、かすれ、ずれといった偶然性を含むその線は、絵画を平面上のイメージとしてだけでなく、現実空間に存在する物質として、また身体的な行為の痕跡として浮かび上がらせます。

横溝はICHION CONTEMPORARYを訪れた際、大阪の都心にありながら、ビルの間に挟まれた細長い建築に、かつての長屋の面影と、水都としての大阪の記憶を重ね合わせました。各階に差し込む自然光が澱み、滞留し、刻々と表情を変える場において、横溝は「見えるもの」と「見えないもの」の領域を行き来しながら、空間、光、線、記憶の交差する一瞬の光景を生み出します。

Open:

11:00 - 18:00 最終入場17:30

Close:

Sun.Mon.Holiday

Admission:

Free

Artists:

横溝美由紀

※10名様以上でのご来場を予定されている場合は、必ず事前にお電話またはメールにてご予約をお願いいたします。ご予約のない場合は、当日のご入場をお断りいたしますので、あらかじめご了承ください。

なお、団体でご来場のお客様には、展覧会運営・アーティスト支援・施設維持のため、お一人様あたり1,000円のご寄付をお願いしております(中学生以上が対象、小学生以下は任意)。ご寄付いただいた方には、オリジナルトートバッグを進呈いたします。

横溝美由紀

横溝美由紀、1968年東京都生まれ。1994年多摩美術大学美術学部彫刻科卒業。活動初期では、時間・空間・光に重きを置いたサイトスペシフィックなインスタレーションを発表。近年は、赤い液体を満たした透明チューブを空間全体にめぐらせたインスタレーション《red cage》(2003)を起点としたシリーズ「line」をはじめ、彫刻的な絵画作品の制作に注力している。代表作の「line」は、絵画を彫刻とみなし、絵具を付着させた糸を弾いて立体的に積み上げていく作品シリーズ。同じ手法を使った新シリーズ「angle」(2020〜)にも取り組む。このほか、自身の過去のインスタレーションを平面に置き換えて再構築した作品などを手がけている。

主な収蔵先:

羽田空港国際線JALファーストクラスラウンジ(東京)、フォーシーズンズホテル(京都)、島津製作所本社ビル、ザ・リッツカールトン京都(京都)、パレスホテル東京(東京)、大本型Domain(香港)、スカパー東京メディアセンター(東京)、麻布第一マンションズ六本木(東京)、関西医科大学附属枚方病院(大阪)、国際交流基金

主な展覧会

「criterium 37」水戸芸術館(1998年)、「プラスティックの時代」埼玉県立近代美術館(2000年)、「傾く小屋」東京都現代美術館(2002年)、「盗まれた自然」川村記念美術館(2003年)、「未来への回路―日本の新世代アーティスト」国際交流基金(2004−19年)、「Landscape – やわらかな地平のその先に」ポーラミュージアムアネックス(2021年)、「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」アーティゾン美術館(2023年)